「知音」


カンベエとシチロージの所属する高層部での演習風景。
演習中のハプニングで、シチは自分とカンベエとの距離をあらためて意識する。
       カンベエと司令官の漫才コンビ、シチと雷電のほのぼのコンビ、のはずが、ちょいシリアスに・・・





     (一)

 「こちらアカイだ。ああ・・・」
 東方(ひがしがた)高層部第三方面部隊司令官は、旗艦甲板に設けられた司令官席で僅かに身をよじった。それから席に備え付けの艦内放送用マイクを手に、いくらか口ごもりながら話し始めた。
「艦内に待機している諸君に告げる。今のを見て、皆分かっているとは思うが・・・とばっちりを受けたくなければ、あの二人に関わらないように。全員が帰還した部署から、定例点検を終え次第、演習を終了して良し。以上」
 マイクの電源を切ると、司令官は傍らの雷電隊隊長を務める機械ザムライを見遣った。
「モガミ。すまんが、あとを頼むぞ」
「何のことだ」
 言われたモガミは、自分の目線の高さに席を構えた司令官の方を向きもせずに、幾らか不機嫌さを滲ませて答えた。
「シチロージの方は、お主が適任かと思ってな、」
「・・・あいつがカンベエでなければ、ひねり潰してやるところだ」
「ははは・・・雷電に言われては、冗談に聞こえぬな」
 
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「・・・・・・」
 自分の席からモガミの体高八メートルを誇る機械の体を見下ろして、アカイヒラザは内心溜め息をついた。

 つい先程まで、その場の全員が注目し、かつ見とれていた。
 地上を遙かに離れ、呼吸可能な大気の存在するギリギリの高度の広大な空間には、東方(ひがしがた)の高層部第三方面部隊が展開して、戦闘訓練を行っているところだった。参加しているのは、部隊所属の全員、すなわち戦闘機、機械ザムライ雷電の一隊、小型、中型の戦艦数隻。そして整備、補給、後方など担当の非戦闘員。その彼らが注視する中で・・・
 数ある飛行物体の中でも一際目立っていたのは、一機の斬艦刀とその搭乗員だった。操縦席の中に一人、刃の峰にもう一人。全員の注目を浴びているのがこの二人だった。
 峰に仁王立ちした方が操縦席を振り返る。中にいる方はそれにうなずき返す。と同時に斬艦刀は右に大きく旋回して下降を始めた。その直前、峰に立つ方が空中へ跳び出していた。
 飛び出したのは、シマダカンベエ。この部隊の切り込み隊長。部隊の先陣を切って戦さ場に斬り込んでいく・・・